第2回 大阪社会調査研究会のお知らせ

もういちど告知です。第2回 大阪社会調査研究会のお知らせです!

テーマ「(資料を)みる・(話を)きく・(文献を)よむ」
2012年5月19日(土)
報告者 朴沙羅氏(京都大学)
場所 龍谷大学大阪梅田キャンパス
時間 14:00〜18:00
参加無料・予約不要

京都大学の朴沙羅さんに、ライフヒストリー調査の方法論についてご報告いただきます。ライフヒストリー、口述史、ナラティブなどに関する研究史から最新の動向まで、さらにご自身の研究についてもご紹介いただきます。3〜4時間かけてじっくりとやります、ライフヒストリーについてイチから勉強するチャンスです! 研究者じゃない方もお気軽にどうぞ。来られる方はご一報くださると幸いですが、当日都合がついたから飛び込み参加も歓迎です。 kisiあっとまーくsociologbook.net

facebookのイベントページはこちらです〜

以下は、朴さんからいただいた、ご報告の概要です。

なお、ネットの情報によれば、鳩は「非常に闘争的な性質を持つ鳥で、テリトリーには特に強い執着を持ち、 他の家族の侵入に対しては徹底的に闘争する」そうです。

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タイトル:(資料を)みる・(話を)きく・(文献を)よむ

発表概要: 誰かから昔の話を聞く、というのは、社会調査でよく起こることかと思います。そこで聞いた資料を、みなさま、どのようにお使いでしょうか。 かつて起こったことについて話を聞いて、その話を研究のデータとして使いたいとき、社会学にも歴史学にも色々な方法があります。誰かから聞いたことをデータとして使うときには、話を聞くだけでなく、関係する資料を読むことが必要になってくる場合もたくさんあります。 そんなの当たり前、とお思いでしょうが、今回は、昔の話を聞くこと、昔の文章を読むこと、そういう資料を特定の視点から見ること、の3点について、社会学と歴史学にどういう方法があって、それぞれの方法をめぐってどういう研究がされてきたか、簡単にお話しできたらいいなと思います。不勉強なところだらけだと思いますが、どうぞご参加の上、どんどん突っ込んでください。

当日の内容:

1.イントロ:聞くことと読むことのあいだ

2.過去を「聞く」@社会学
 2-1 生活史(ライフヒストリー)研究
 2-2 ライフストーリー研究
 2-3 物語りの社会学

3 過去を「読む」@社会学
 3-1 歴史学は何をやっているのか:『The Spectacle of History』
 3-2 「ループ効果」の歴史:『概念分析の社会学』
 3-3 法廷を再現する:『実践の中のジェンダー』

4.過去を「読む」@歴史学
 4-1 歴史学における資料の扱い
 4-2 やってみよう:史料批判

5.過去を「聞く」@歴史学
 5-1 オーラルヒストリーの色々な視点
 5-2 「思い出されたこと」をどう扱うか

6.占領史を読んで聞く
 6-1 研究の概要
 6-2 「聞くこと」と「読むこと」との組み合わせ
 6-3 「社会」史は何を見るのか

発表者自己紹介:朴沙羅(ぱく・さら)京都大学文学研究科・社会学専修、博士後期課程3年。研究テーマは日本占領史、移民史。すごくあがり症で、緊張しすぎて嫌味っぽい口調になったり妙に攻撃的になることがありますが、基本的に小鳩の心臓の持ち主です。


シューカツと就活のあいだ

大学生の就職率があいかわらず悪い。ウチの学生たちもみんな苦戦している。しかしおかげさまで俺のゼミ生はそんな状況でもかなり調子がいい。企業のみなさまありがとうございます。

それでも数名は進路が決まらないまま卒業していく。心配なのでたまにメールしているのだが、今年卒業したメンバーは、実家に帰って公務員や資格の試験の浪人をする、などの場合をのぞき、ほとんど内定を得ることができた。卒業してからも3名ほど内定をもらっているのだが、どこで見つけたのかいろいろ聞くと、普通にハローワークに行ったらしい。

それにしても就活大変やな。特にここ数年はほんとうにみんな苦戦している。3回生の夏にインターン行ってから卒業まで1年半も就活続けるやつがいる。教員としてはほんとうに悔しいし腹立たしい。

それでも既卒を中心にハロワですぐに内定取るやつがたくさんいて、話をきくと確かに地味な中小が多いがなかなかのんびりした昭和な感じの会社も多くて、もうこれは職探しの手段としてはハロワ最高ちゃうん、って思って、苦戦してる学生にめっちゃ勧めてるんだけど、あれっと思うほど反応が悪い。

やっぱり社会学勉強してる身としてはすごい興味があるから就活の話や卒業してからの仕事の話はほんとうによく聞くんだけど、だいたいものすごいブラックなとこって、誰もがあこがれるサービス業の最前線、たとえばブライダルとかそういうところに多いような気がする。そういうところはみんなあこがれるし、リクナビなんかでも人気があるし、エントリもものすごい数が来るらしい。でも、もちろん全部じゃないけど、カスタマーと直接接するところの仕事はほんとうにクレームも多くて社内教育も厳しく、労働条件も悪いところがたまにある。

もちろんハロワで見つかる会社にブラックがぜんぜんないっていう話ではぜんぜんなくて、そうなんじゃなくて、どうせ同じならムダに苦労することないと思うんだけど、っていうことやねんけども。やたらと競争率の高いところに行こうとして無理して長い期間しんどい就活しなくても、給料に差は無いんだから、ハロワで地元の中小企業探して、あとはのんびりと最後まで学生生活楽しんだらいいと思って、かなりアツくハロワ推しをしてるんだが、なんかあんまり反応がない。

それで学生たちになんでハロワ行かないのって聞いたら、まあ聞いたらなるほどって思いましたけども、「ハロワに行くのって『職探し』って感じがするんですよー」って言われたときはびっくりした。いやお前らいまやってるの職探しやろ。違うのか。

いろんな学生に聞いたら、ハロワについてはだいたいこんな答えがかえってきた。俺が「こんな感じ?」って聞いて「そうそう」ってかえってきたやつも含む。

・ハロワが紹介してるような中小企業に「感情移入」できない
・そういうところに行くモチベーションがわかない
・「50代ぐらいのおっさんがいくとこ」っていうイメージ
・「ガチの失業者がいくとこ」っていうイメージ
・そもそも最初から選択肢に入っていない
・「お役所」っていう感じ
・まわりの誰も行ってない

たいへん興味深い。じゃあ逆に、おまえらにとって就活って何なん? って聞いたら、

・大学の行事
・みんなで一緒にやるもの
・大学の授業の一環
・サークルみたい

もちろん「じゃないことはわかってるけどそんな感じ」っていうことなんやけど、これはもうほんとに「はああああああ、なるほどなああああ」って思った。

だいたい就活っていうと、スーツ買って写真とって履歴書の書き方勉強して、リクナビやら何やらの大手サイトに登録して、SPIかなんかの勉強して、大学主催の業界セミナーとかいろいろ参加して、大きななんちゃらドームでやってる「就職博覧会」みたいなん行って(意味ないから行くなって言うてるけど)、ゼミでもサークルでも集まるともう就活の話ばっかりして、GWすぎぐらいから病んで女子は「専業主婦になりたい」とか言いだして、まわりの友だちがひとりずつイチ抜けしていくのにやきもきして、とかそんな感じなんだけど、なんかハタで見てるとほんとに「みんなで一斉に同じことしてる」って感じがする。ぜんぜんひとりで個人としてやってないっていうか。

詳しく書かなくてもわかってもらえると思うけど、たしかにそのまっただ中にいる学生にとっては、「一斉に始まって一斉に動く」就活は、もちろん企業側の動きも含めて、「大学のカリキュラム」に含まれているように感じられるに違いない。

ぜんぜんひとりになってない……。企業の側も「ひとりの人間」を採ろうとしてない。なんか学生も企業も集団で一斉にタイミングを合わせてやってる感じ。だから乗り遅れるとダメージがでかい。1年や2年ちょっとのんびり勉強しよかなと思っても許されない。

蝉か。

こういう就活を続けて内定取れなかったやつが、方向を変えてハロワであっさり就職先を見つけていくのを見るにつけ、そしてそして、大多数の学生がしんどいことを長期間やって貴重な学生生活が削られてるのを見るにつけ、ほんとうにもったいないと思う。

ただこれは、強調タグを付けて言いますが、学生が贅沢に選り好みしている結果ではない

企業側が新卒一括採用にこだわって「年中行事」みたいな採用しかしないから、学生たちがつくりあげる「中間集団」において、ほんらいは合理的・個人的におこなわれるべき就職活動が「シューカツ」と呼ばれ、非常に非合理的・集団的な意味付けがされてしまうのである。

経済的状況や政治、歴史などのマクロな構造とその変動は、個人に直接届くわけではなく、かならず家族や友だち、学校、会社、地域社会などの「中間集団」における解釈と実践がフィルターになっている。われわれは個人でなにもかも行動したり判断したりできるわけではなく、例えば特定の行為が、その個人にとってどれくらい利益をもたらすものであるかよりもむしろ、そういう中間集団においてどのような意味付けがされているかのほうが大事だったりする。

学生に限らず、われわれはみな、こういう中間集団における意味付けによってがんじがらめに縛られているのである。

これを図に表すと以下のようになる。

というわけで、「シューカツ」というものは合理的な求職活動ではなく、企業側の「新卒一括採用」という謎の慣習によって、学生側の中間集団によってまるで「大学のカリキュラムのひとつ」のような意味付けがされてしまっていて、なかなか「よくあるパターン」から外れたことがしにくいのである。というわけでもっと大学のキャリアもハロワや中小企業推したらええと思うんだけど、なんか大学の「就職率自慢ページ」でも大企業の名前ばっかり出てくるし、なんかもう企業も学生も大学も、みんなもっと合理的になれ! 

まあでも学生わるくない。学生わるくないよ、ほんと。