子どもを憎悪する人びと

おそらく、たくさんの人が、すでに同じことを書いていると思うけど。

「シリア難民中傷風刺画について、今までの流れ」(『東京育児日記──子どもが寝ているあいだに書くブログ』)
http://yuco.hatenablog.jp/entry/2015/10/05/000019

yucoさんもrnaさんもすごい。ほんとにすごい。俺も何度でも報告しよう。

それにしてもひどい話だが、このイラストを最初に見たときから、怒りや悲しみとともに、なにか手応えのない、意味のわからない、もやもやとしたものを感じていた。作者のレイシスト的な意図はよくわかるのだが、その意図を実現するための手段として考えると、理解できないところが残る。もちろん意図も何も、最初からまったく理解はできないのだが、それにしても、差別的表現としてはなにかこれまで見た(見させられた)ものと異質なところがあると感じた。

この絵は、レイシスト的なひとから共感を得ようとしているし、あわよくばそれほどでもない人びとに対しても、難民や外国人に対する反感を与えようとしている。

この絵で?

憎悪を煽る表現っていうのは、憎悪や差別の対象を、ことさらに強く、「悪そうに」描く。あいつらは悪いやつだ。俺たちは被害者なんだ。こっちからやらないと、先に俺たちがやられてしまう。

そういうふうに見えなかった。かわいらしい女の子が、汚れた顔をして、汚れた服を着ている。「人の金うんぬん」という文章も、最初読んだときは、むしろ暴力的な体験をしてそう考えるようになってしまったとしたら、それはとても辛いことで、だから難民はやっぱりちゃんと受け入れて、人権や生活を保証するべきだとすら思った。

しばらく見続けてから「あ、これ逆か」と気づいた。

あの絵は、悪くて強くてずる賢くて、暴力や犯罪も厭わないような、汚らわしい存在として描かれている。私たちにとっての脅威として、外部からの侵略者として描かれているのだ。そして憎悪を煽っている。

ずっと考えていたのだが、なんとなくわかってきた。作者は、あるいはあれを拡散してる人びとは、10歳にもならないような小さな女の子を、外国人だから、汚い難民だからといって、憎悪すらできるような人びとなのだろう。お腹を空かせた、汚れた服を着た子どもを。

“子どもを憎悪する人びと” への1件の返信

  1. 「子供から全てが始まる
    生かしてはおけない
    貴様らもみんな死ね
    貴様らの民族に未来はない
    共産主義は下等人種に宿る
    絶滅させるべきだ」
    -映画『炎628』より、ユダヤ人虐殺を指揮したSS中尉の台詞

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