実在する東京

承前。出張しているとなぜかテレビをよく見る。自宅ではテレビを見ない、というか、そもそもテレビが無いのだが、ビジネスホテルの朝はやっぱりなんかちょっとさみしいので、朝のニュースやバラエティを見る。

いつも思うけど、いちばん東京を実感するのは、新宿や池袋で飲んでるときよりも、東京タワーの展望台に登ったときよりも(こないだ初めて行った、すごく楽しかったです)、実は朝、テレビを見ているときだ。

ほとんどのテレビ番組というのは東京でつくられている。出演しているのは半分ぐらいは関西の芸人だったりもするけど、でもみんな東京に住んでいるひとで、スタジオも東京にあって、話も東京の話をしている。

大阪でそういうテレビ番組を見るときは、どこか遠い遠い、ぜんぜん別の国から勝手にやって来る、現実感のない、ふわふわした感じだけど、東京で見るテレビ番組は、びしっとした緊張感や、がっちりとした現実感がある。ああ、この街でいま見ているこの番組は、同じこの街に住むひとたちが、同じこの街で作ってるんだなっていう実感がある。

早朝の、生放送のニュース番組に出ている、名前も顔も知らないアナウンサーも、この街の大学を出て、この街で暮らして、そしていま、俺がこれを見ているその同じ街で、テレビカメラの前にいるんだなと思うと、妙にそのアナウンサーが、実際に存在している、人格を持った、生きている人間のように見えてくる。

子どものころに読んだ筒井康隆のエッセイで、富士山に登るネタがあって、その結論が、「登ってみてわかった。富士山は実在する」っていうものだったけど、ものすごくよくわかる。東京もまた、よく知ってる、有名な場所だけど、行ってみるとあらためて、ああ本当に実在したんだな、と思う。

そして、なんか変な話だけど、朝のニュースに出てるひとたちも、ホテルの窓の外を歩いてるひとたちも、満員電車に乗って通勤していくひとたちも、みんな東京でがんばってるんだな、と思う。


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