前にも見たような気がする

病的なほどの方向音痴で、たとえば何十年と歩いている一本道で迷う。

こないだ、那覇でジャズのライブをする機会があって、(素人のくせに)わざわざ大阪からウッドベースを飛行機で運んだ。JALに問い合わせてみたら、なんと無料で貨物に入れてもらえるということで、喜んで空港に持っていったら、ひとが二人ぐらい入れる棺桶のような、巨大な銀色のジュラルミンのケースが、数人のスタッフの手によってうやうやしく運ばれてきて、そのなかに私の安物のウッドベースを収納すると、がっちゃんばったんと蓋を閉め、何重にも巻かれた黒いベルトでぎゅうぎゅう締めて、5人がかりで丁重に運ばれていって、心から申し訳ない気持ちになった。こんな素人の私のためにほんとうに申し訳ありません。せめてもっと練習します。

さて、那覇について(那覇空港からホテルまでウッドベースをタクシーで運ぶときもいろいろあったのだが)、夜になり、リハの時間になって、ウッドベースをよっこらしょと肩に担いで国際通り(一本道)を歩いているうちに道に迷った。

店はどこだろうときょろきょろしながら、ウッドベースを担いで歩いていると、地元のヤンキーの若者たちが、一杯飲んで上機嫌で、路上でわいわいと騒いでいる。たぶん観光で来た内地の女の子をナンパしに来たのだろう。その前を通り過ぎるときに、でかい楽器が珍しいのか、めっちゃじろじろ見られた。

だいぶ歩いて、どうも反対方向に来てしまったようだと気がついて、逆を向いてそれまで歩いてきた方向に戻っていった。

ヤンキーの諸君はまだ同じところでうだうだしていたが、ウッドベースを担いだ私が、こんどは逆の方向からもういちど歩いてくるのを、全員が目を丸くして見た。そんなにじろじろ見んなボケ、と、心のなかで思っていたら、そのうちのリーダー格のやつから大声で「デジャブ?」って叫ばれた、くっそー。


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