いそばが

いまロイホにMacBookAirを持ち込んで原稿を書いているんですが(21時すぎ)、隣りに若いお父さんと若いお母さんと3歳ぐらいの小さな女の子がいる。食事をしに来ているのだが、食事そっちのけで、お母さんがテーブルに紙をひろげて、ちょっとただごとでないような真剣な様子で、娘に問題を出している。何だろう、どこぞの付属幼稚園にお受験でもさせるのだろうか。

問題はことわざクイズになった。娘はぜんぜんやる気がなく、足をぶらぶらさせながら、ソファの上に流れ落ちる液体のような座り方をしている。

うまのみみに?

ねんぶつー。

ねこに?

……。

ねこに!?

こばんー。

かべにみみあり、しょうじに?

……。

しょうじに!?

…………。

しょうじに!!?

めありー。

いそばが?

……。

いそばが!?

……。

あのな、いそいで近道を歩いて、危ないめに合うこともあるやん。だから、まわり道をしてな、ゆっくり行ったほうがな、早いときがあるねん。いそばが?

まわれー。

そのあいだ、お父さんは、「俺がどれほどフライドチキンが好きか」という話しかしていない。

食事がぜんぶ運ばれてきて、もう受験勉強なんかどうでもよくなったのか、そのあとはふつうに和気あいあいと団欒しながら食事していた。

しばらく俺の頭のなかで「いそばが」がリフレインしていた。

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