バスの歌声

こないだふと思い立って、連れ合いと一緒に関西空港から大阪湾を横切って神戸まで行く高速フェリーに乗った。

空港からフェリー乗り場まで行く連絡バスのなかは、大半が中国人観光客の団体で、多くは家族連れだった。

私たちのうしろの座席に座ったのは、6歳か7歳ぐらいの中国人の女の子3人で、途中でバスの外の風景にも退屈したのか、歌を歌い出した。

鳥肌が立った。夕暮れどきの、埋め立て地の殺伐とした港を走るバスの暗い車内のなかで、ひとことも意味のわからない言葉で、小さな子どもが声を合わせて歌う歌。とても美しかった。

バスはフェリー乗り場に着き、私たちは船に乗り込んだ。海は荒れていて、船もはげしく揺れ、私たちはひどく酔った。

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